まえがき
『ケント大学の映画学教授であるマーレー・スミスは、映画の登場人物への感情的参加の三段階を定義している。』
リスト
- 認識: 観客によって認識されるボトムアップ型の対象あるいは状況。たとえば、敵のスパイに追われているキャラクターなど。
- 連帯: 新しい情報を、ストーリーが展開していくにつれて進展する心の変化に結びつけること。たとえば、このキャラクターが敵のスパイに捕らえられ殺すと脅されること。
- 忠誠: キャラクターが考えられないような窮地をまんまと脱出するという「生き残り」への堅い信念、希望、信頼。
あとがき
まえがきを含めて、ポール・ジョセフ・ガリーノ、コニー・シアーズ 『脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ』(フィルムアート社、2021年)より。参考文献(1) からの引用とのこと。
「感情的参加」という言葉が認知的共感の映画鑑賞版という感じで印象的でした。
観客はメインキャラクターに同一化しているのではなく、感情移入しているのでさえない。観客が映画で見るキャラクターたちは危険に陥ったり苦しんだりするかもしれないが、観客自身はそうでないことを観客は知っている。しかし、観客はキャラクターが感じていることを十分に理解することができる。
- タイトル: 脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ
- 著者: ポール・ジョセフ・ガリーノ(著)、コニー・シアーズ(著)、石原陽一郎(翻訳)
- 出版社: フィルムアート社
- 出版日: 2021-01-26
参考文献
(1) Carlsten, Jennie. “Black Holes and White Space: Ellipsis and Pause in Steve McQueen’s Hunger.” Projections 9.1 (2015): 43-65.