まえがき
『「これをすればあれをあげるよ」と言えば、関心は「これ」ではなくて「あれ」に行ってしまう。(略)報酬は動機づけになるか。完璧になる。報酬をめざす動機づけとなる。』
リスト
- 報酬は罰になる: 報酬は罰と同じように操作的であるうえに、期待した報酬が与えられなかった場合に罰と同じ効果を生み出す
- 報酬は人間関係を破壊する: 報酬(や罰)は、与える人と与えられる人の間だけでなく、与えられる人たちの間の力の不均衡を生み出す。協力や仲間意識を促進しない
- 報酬は理由を無視する: 報酬による行動の制御は、相手がその行動を取っている真の理由を無視することにつながる
- 報酬は冒険に水をさす: 報酬目当てに働くときは、報酬を得るのにちょうど必要なだけの仕事をやり、それ以上はやらない。報酬は探求の敵である
- 報酬は興味を損なう: 報酬は内発的な動機づけを罰と同じように損なう。
あとがき
まえがきを含めて、アルフィ・コーン『報酬主義をこえて〈新装版〉』 (法政大学出版局、2011年)より。
リスト項目1から4までが第4章にまとめられ、項目5は単独で第5章を費やして論じられています。外発的な動機づけである報酬や罰は、効果がないどころか逆効果がある。これは調査によってわかっている。ではその理由がどこにあるのか。それを詳しく考察しています。
まえがきは第4章の最後の段落から引用しました。全体の要約というわけではないのですが、報酬のはたらきを端的に説明するよい文章だと思ったので。なお、『報酬は動機づけになるか。完璧になる。報酬をめざす動機づけとなる。』には傍点が打たれていました。