基本感情を見分ける基準


まえがき

基本的な感情を見分ける基準とは。心理学者のポール・エクマンが挙げたものを〈〉で、その他の研究者が加えて提唱した基準を〔〕で示します。

リスト

  1. 〈突然感じられること〉- 感情とはある出来事が起こったり、思考が浮かんできたりした時に生じる〈反応〉である。
  2. 〈長く続かないこと〉- たとえば悲しみが長く続くとしたら、それは悲しみの感情ではなく、悲しい気持ち、あるいは悲しい気分である。
  3. 〈ほかの感情と区別がつくこと〉- 青と赤の区別がつくように、恐怖と怒りは容易に区別がつく。だが、恐怖と不安、心配は区別が曖昧なので、同じ仲間の感情と考えられる。
  4. 〈赤ん坊にもあるということ〉- この場合、やはりほかの感情とはっきり区別される形で表現される必要がある。
  5. 〈特有の身体的な反応を伴うこと〉- 恐怖と怒りはともに心臓の鼓動が早くなるという身体的な反応を伴う。だが、指先の皮膚温度について見れば、恐怖の場合は冷たくなるのに対し、怒りの場合は熱くなる。
  6. 〔普遍的な表情を持っていること〕- たとえば、ちがう文化に属する人が喜びの表情を見た場合、それが喜びの表情だとわかる必要がある。
  7. 〔同じ経験をしたら誰もが感じるということ〕- これはたとえば、「大切な人を失った場合、悲しみを抱く」といったことである。
  8. 〔類人猿にも同じような感情が見られること〕- ある感情を基本的な感情というなら、同様のことが類人猿にも観察される必要がある。

あとがき

『感情力―自分をコントロールできる人できない人』より、すこし刈り込んだうえで引用しています。最初の5つについては “Handbook of Cognition and Emotion” からの引用とのこと。
〈赤ん坊にもあるということ〉という条件は、恥とか尊敬とか羨望とか、いわゆる社会的感情を基本感情から排除する分かりやすい基準に思えます。
一方、〔普遍的な表情を持っていること〕はエクマン自身の研究テーマだったはずですが、彼がこれを基本感情を見分ける基準に入れず、他の学者が入れているのはなぜなんだろう。

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