まえがき
『こう考えると、私たちの行動には、「3つの時間軸における合理性」が互いに絡みあうかたちで影響を与えることがわかる。(略)甘いものへの好みを考えてみよう。』
リスト
- 進化時間: ヒトは糖を好む特性を有する。これは純度の高い炭水化物として貴重な栄養源を摂取して生存を有利にするための、DNAに書き込まれた進化的な適応戦略である
- 歴史・文化時間: 現代の飽食社会では糖への好みを抑えることが健康面でも社会面でも個体の成功につながる。これは、文化的な媒体・経路を通じて個体間で学習・模倣されて社会に定着した、歴史・文化的な適応戦略である
- 生活時間: 遭難した場合には糖の摂取は生存に有利に働く。これは歴史・文化時間より短いオーダーの時間における生活的な適応戦略である
あとがき
まえがきを含めて、亀田 達也『連帯のための実験社会科学 共感・分配・秩序』 (岩波書店、2022年)より。リストは本文を意訳しつつまとめて作成しました。リスト化した文章のあとにまえがきが続きます。つまりまえがきの「こう考えると」はリストの内容を指しています。
糖の摂取は進化的適応としては合理的だが、歴史・文化的適応としては不合理になり得る。著者は『3つの時間に由来する異なるベクトルが競合するゆえに、同じ対象(糖など)に接近したい一方で回避したいとも思う「揺れ動く心」が生じるのかもしれない』と述べています。
副題の「共感・分配・秩序」という3つ組に引かれて手に取りました。それぞれに一章が割かれているものの、残念ながらこれらが何かの枠組みであるという内容ではありませんでした。
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- タイトル: 連帯のための実験社会科学 共感・分配・秩序 (シリーズ ソーシャル・サイエンス)
- 著者: 亀田 達也(著)
- 出版社: 岩波書店
- 出版日: 2022-01-13