投稿者: koji

  • 深遠な心の平和を得るには(バリー・マギッド)

    まえがき

    『バリー・マギッドは次のように主張している。「瞑想を利用して人生をより良く、より幸せにしようというのは、従来の常識からいって、考え違いである」と。しかし、マギッドの主旨は、瞑想の効果を否定することではなかった。』

    リスト

    あとがき

    まえがきを含めて、オリバー・バークマン『ネガティブ思考こそ最高のスキル』 (河出書房新社、2023年)より。

    まえがきで引いたバリー・マギッド (Barry Magid) は『アメリカ人の禅僧でベテランの精神科医』。彼の著書 “Ending the Pursuit of Happiness” (Wisdom Publications、2008年)のメッセージをバークマンが要約した部分をリスト化しました。

    今現在不愉快に感じている物事を愉快なものに置き換えようとしない。この第3項目に感じるものがあって収集したくなりました。

    第4項目は文末を他の項目に合わせて『「幸福」を追い求めない』としたいところ。「あきらめる」という、ある意味で意志を込める動作よりも「追い求めない」という状態で表現したほうが趣旨にも合うように思います。せっかくなので原著をチェックしてみると、”dropping the ‘pursuit of happiness’” という表現でした。

    The point, instead, was to learn how to stop trying to fix things, to stop being so preoccupied with trying to control one’s experience of the world, to give up trying to replace unpleasant thoughts and emotions with more pleasant ones, and to see that, through dropping the ‘pursuit of happiness’, a more profound peace might result.

    Barry Magid, “Ending the Pursuit of Happiness”

    なお本書は『解毒剤 ポジティブ思考を妄信するあなたの「脳」へ』として2015年に出版された本の復刊。よい本でユーザーレビューも高評価でしたがわたしのアンテナにはまったくかからず。復刊に感謝です。

        参考文献

        • 和風建築を設計する際の心得

          まえがき

          『泉岡は村野に和風建築を設計する際の心得を伝授したと、村野は記している。』

          リスト

          あとがき

          まえがきを含めて、隈 研吾『日本の建築』 (岩波書店、2023年)より。

          まえがきの「村野」は建築家の村野 藤吾 (Wikipedia)、泉岡は『村野の若いころの借家の家主であり、後に村野に事務所の地所を譲った、大阪の素封家で趣味人としても知られていた泉岡宗助(いずおかそうすけ)』です。リストは本文からの引用ですが、村野 藤吾「和風建築について」(『村野藤吾著作集』所収)からの引用とのこと。

          最初の6項目は形に関する心得で、「ここまでに留めておけ」といったトーンが大部分。また最後の2項目は姿勢に関する心得。全体的に抑制的なところを好ましく感じて収集しておきたくなりました。

          • タイトル日本の建築
          • 著者: 隈 研吾(著)
          • 出版社: 岩波書店
          • 出版日: 2023-11-29

            参考文献

            • タイトル村野藤吾著作集
            • 著者: 村野 藤吾(著)、神子 久忠(編集)
            • 出版社: 鹿島出版会
            • 出版日: 2008-10-01
            • 「考える」3ステップ

              まえがき

              『「考える」とは、まず問いを持つことからはじまります。「ほんとうにそうだろうか?」と疑い、答えを求めていくのです。次の3つのステップはあらゆる場面で使えます。』

              リスト

              あとがき

              まえがきを含めて、出口 治明『働く君に伝えたい 「考える」の始め方』 (ポプラ社、2023年)より。シンプルでストレートな書名にふさわしいタイトルを付けました。

              何が問題なのか、なぜ問題なのか、どうすればいいのか。考えるとは問題解決であるという定義です。

              本書の焦点は声を挙げ、説明するというステップにあるように思います。ほんとうに難しいのは解決に向けた行動。まずは声を挙げ、説明しよう。

              • 人物をみる八観法

                まえがき

                『寸言こそ人を感奮興起させる――と安岡正篤先生はよく言われました。』

                リスト

                • 通ずれば其の礼する所を観る(すらすらうまく行き出した時に、どういうものを尊重するかを観る)
                • 貴(たか)ければ其の進むる所を観る(地位が上がるにつれ、其の登用する人間を見て人物が分かる)
                • 富めば其の養う所を観る(金ができると何を養い出すか)
                • 聴けば其の行う所を観る(善いことを聞いたら、それを実行するかどうかを観る)
                • 習えば其の言う所を観る(習熟すればその人間の言うところを観る)
                • 止(いた)れば其の好む所を観る(この「止」は板につくという意味。一人前に仕事ができるようになると、何を好むか)
                • 窮すれば其の受けざる所を観る(貧乏したときに何を受けないかを観る)
                • 賤なれば其の為さざる所を観る(人間落ちぶれると何をするかわからない。だから為さない所を観る)

                あとがき

                まえがきを含めて、安岡 正篤『安岡正篤一日一言』 (致知出版社、2006年)より。まえがきは本書「あとがき」からの引用です。リストの内容とは関係ありませんが、当サイトも寸言こそ……の精神を汲んで運営しているので、引いておきたくなりました。

                • タイトル安岡正篤一日一言
                • 著者: 安岡 正篤(著)
                • 出版社: 致知出版社
                • 出版日: 2006-06-02
                • 脳の中の4つのキャラクター

                  まえがき

                  『最終目標は、「四つのキャラ」がお互いに理解し合って、健全な関係を築くこと。そうすれば、「四つのキャラ」は、あなたの天賦の才で装備した健全なチームとして、集団で機能するようになります。』

                  リスト

                  あとがき

                  まえがきを含めて、ジル・ボルト・テイラー『WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方』 (NHK出版、2022年)より。

                  前著『奇跡の脳』で、脳出血によって左脳の機能が停止すると世界がどう見えるかを、回復後の著者が描写していました。それがヴィパッサナー瞑想者の描く風景とそっくり同じで、驚いたことを思い出しました。

                  純粋に生物学的な観点から見ると、人間は、感じることもできる「考える生き物」というよりは、考えることもできる「感じる生き物」なのです。

                  この本からの他のリスト

                  • 自分を癒やすライティングのガイドライン

                    まえがき

                    『以下に示す原則に従えば、こころのライティングから最大の恩恵を受けることができます。』

                    リスト

                    あとがき

                    まえがきを含めて、ジェームズ・W. ペネベーカー『こころのライティング―書いていやす回復ワークブック』 (二瓶社、2007年)より。

                    「筋の通った話を組み立てる」のが重要原則という点が、すこし面白く感じました。何でもいいから書きつければOKというわけでもない。

                    • 愛の3成分

                      まえがき

                      恋愛は感情ではなく、特定のパートナーと親密な関係を築くための動機づけシステムとして定義される。

                      リスト

                      あとがき

                      まえがきを含めて、参考文献[1] より。もともとは[2]で見かけました。

                      すべては種の存続のために、みたいで味気ない感じもしますが、簡潔で網羅的な枠組み。

                      参考文献

                      [1] Seshadri, Krishna G. “The neuroendocrinology of love.” Indian journal of endocrinology and metabolism 20.4 (2016): 558.

                      [2] 『「一目ぼれ」は欲望が生み出した幻想なのか?』 (GIGAZINE, 2023/3/12)

                    • 孤独の3つの次元

                      まえがき

                      孤独とは、個人の望む社会関係と実際の社会関係とのずれによって生じるネガティブな感情であり、3つの次元に分けられる。

                      リスト

                      あとがき

                      まえがきを含めて、参考文献[1] [2]より。まえがきもリストも文献からの要約・私訳です。

                      パートナー、友人、コミュニティ。直感的によくわかります。

                      参考文献

                      [1] Cacioppo, Stephanie, et al. “Loneliness: Clinical import and interventions.” Perspectives on Psychological Science 10.2 (2015): 238-249.

                      [2] “The 3 Types of Loneliness and How to Combat Them” (Psychology Today, 2019/7/12)

                    • フィードバック準備の「6つのRight」

                      まえがき

                      『ギャップフィードバックを実施する前に満たすべき条件について説明します。(略)フィードバックを成功させるために、これら6つの条件が十分に満たされるよう普段から意識しておくとよいでしょう。』

                      リスト

                      あとがき

                      まえがきを含めて、三村真宗『みんなのフィードバック大全』 (光文社、2023年)より。リストは図表からの引用です。

                      まえがきにギャップフィードバックとありますが、本書ではフィードバックをポジティブフィードバックとギャップフィードバックに分けています。ざっくりいえば、前者がほめる系、後者が課題の指摘系。

                      リストフリーク的観点からすると、「6つのRight」では想起の手がかりがありません。何が Right であるべきかが重要なので、例えば……「フィードバックのTOMARE」はどうでしょう。いったん立ち止まって TOMARE を満たしているかチェックする、ということで。やや苦しいかな。

                      • システム化メカニズムの4段階

                        まえがき

                        『ヒトは脳に特殊なエンジンを持つ。これは、システムの最小定義である、if-and-then パターンを探索するものだ。私は、脳に存在するこのエンジンを「システム化メカニズム」と呼ぶ。』

                        リスト

                        あとがき

                        サイモン・バロン=コーエン『ザ・パターン・シーカー:自閉症がいかに人類の発明を促したか』 (化学同人、2022年)より。

                        われわれ人類にこういったエンジンが備わっている感じはしますね。このループがブレイクスルーにつながるか堂々めぐりに陥るかは、ループを回しつつめざす方向性の有無にあるように思います。