投稿者: koji

  • ディレクトリごとにPHPのバージョンを変える

    LOTD(今日のリスト)の配信にはXserverのメーリングリスト機能を使っている。しかしこの機能はPHP5~7にしか対応していない。一方でWordPress本体はPHP8をサポートし始めている。

    LOTDのためにWordPressのPHPバージョンが制約を受けることがないよう、XserverのメーリングリストだけをPHP7で走らせられないかを調べた。

    Xserverのメーリングリスト機能は xmailinglist というディレクトリに収められたファイル群として提供されている。よって https://listfreak.com/xmailinglist/ 下のPHPだけをPHP7で起動すればOKそう。

    xmailinglist ディレクトリ以下の .php ファイルだけを異なるバージョンのPHPで走らせるために、以下のような内容の .htaccess を置く。

    AddHandler php-xmailinglist .php
    Action php-xmailinglist /xmailinglist/php.fcgi

    1行目で .php ファイルを扱うハンドラー(ラベル名のようなもの)を追加し、2行目でそのハンドラーが実行すべきファイルを指定する。

    ここで /xmailinglist/php.fcgi は以下のような内容のシェルスクリプトである。

    #!/bin/sh
    exec /usr/bin/php-fcgi7.4

    PHPのファイルパスは Xserver の「プログラム言語・コマンドパス」というページに書かれている。

  • (科学的)説明の被覆法則モデル

    まえがき

    『一般に、科学的説明は論証の論理構造を持っているとヘンペルは指摘する。(略)ヘンペルは次の条件を挙げた。』

    リスト

    あとがき

    まえがきを含めて、サミール・オカーシャ『哲学がわかる 科学哲学 新版』 (岩波書店、2023年)より。リストは本文を分解して作成しました。

    被覆法則モデルは “covering law model” の訳。『ヘンペルの説明モデルは、次のような図式で表現できる。』として、次の図式がありました。

    一般法則
    個別的事実
     ⇓
    説明すべき現象

    一見すると、これで説明できない、あるいは間違った説明になってしまうことなどなさそうに感じます。しかし本書では「対称性の問題」「関連性欠如の問題」という2つの問題(詳細は省略)が指摘され、説明のモデルとしては十分でないことが示されます。

    • タイトル哲学がわかる 科学哲学 新版
    • 著者: サミール・オカーシャ(著)、直江 清隆(翻訳)、廣瀬 覚(翻訳)
    • 出版社: 岩波書店
    • 出版日: 2023-09-14
    • 「完全無欠の問題解決」の7ステップにおける問い

      まえがき

      『本書の心臓部にあたるのが、創造的な問題解決、すなわち7ステップからなるフレームワーク、「完全無欠の問題解決」であり、以下の決定的に重要な問いから始まる。』

      リスト

      あとがき

      まえがきを含めて、チャールズ・コン、ロバート・マクリーン『完全無欠の問題解決―――不確実性を乗り越える7ステップアプローチ』 (ダイヤモンド社、2022年)より。リストは本文中のリストと図表を引用・編集して作成しました。

      問題解決のガイドとしてかなり充実しています。コンサルティング業務の教科書のよう。

      • システム3の基本原則

        まえがき

        『カーネマンの理論で忘れられているシステム3の基本原則をまとめよう。(略)システム3の概念は、数学の取り組みの本質をよく表している。』

        リスト

        あとがき

        まえがきを含めて、ダヴィッド・ベシス『こころを旅する数学: 直観と好奇心がひらく秘密の世界』 (晶文社、2023年)より。リストは本文と「システム1、2、3 ―― 3種類の思考速度」と題された表から抜き書きして作成しました。

        システム1を電気的、システム2を機械的な思考と呼ぶならば、植物的とでも呼べる第3の思考がある。かすかな違和感が的確な比喩によって鮮やかに視覚化されました。

        システム3を思考力としましたが、著者は『十分に特徴を捉えられる言葉が見つからなかった』と述べています。一つの単語の代わりに文章で説明を試みている個所を、少々長めですが引用します。

        システム3は熟考力に対応すると言いたいところだが、“熟考する”という動詞はシステム2に従う命令として使われてからたいした意味をもたなくなった。
        システム3の活動は一種の瞑想だが、この言葉もあいまいすぎる。すべての瞑想がシステム3の活動とは限らないからだ。 システム3の原則は、システム1とシステム2の不一致を理解して解消するために、両者の対話を確立することである。自由な瞑想ではなく、矛盾がないようにするという制約を受けた瞑想だ。最終目的は、システム2の結果を考慮してシステム1を修正することである。

        全体に「そうそう、考えるとはこういう作業だ」と思える良書でした。

        • ブロック識別子としてのブロック名

          Gutenberg 16.9 から、ブロックに固有の名前を付けられるようになった。このブロック名を ID とみなすことで、ブロックエディタを使って視覚的にデザインしつつ、表示をする際にはショートコードのように動的なコンテンツを流し込むことが容易になる。

          ブロックに固有の名前を付ける

          図1

          リストビューでブロック要素を選択し、メニューから「名前の変更」を選べば編集できる(図1)。また設定サイドバーの Advanced グループにブロック名という欄があり、ここからも編集できる(図2)。詳しくは “Rename (almost) all blocks from the editor” (in “What’s new in Gutenberg 16.9? (25 October) – Make WordPress Core“) を参照のこと。

          図2

          ブロックの内容を動的に書き換える

          たとえば詩ブロックの一つに "lf-test-block-name" という名前を付けると、ブロック名は下記のように保存される。

          <!-- wp:verse {"metadata":{"name":"lf-test-block-name"}} -->
          
          <pre class="wp-block-verse">テストブロック</pre>
          <!-- /wp:verse -->

          このHTMLをパースして $block という変数に格納したとすると、ブロック名には $block['attrs']['metadata']['name'] としてアクセスできる。

          このブロックの内容を表示時に書き換えるには下記のようにすればよい。

          add_filter( 'render_block_core/verse', 'rewrite_verse', 10, 3 );
          function rewrite_verse( $block_content, $block, $instance ) {
          
              // 処理対象ブロックでなければ終了
              if ( 'lf-test-block-name' !== ( $block['attrs']['metadata']['name'] ?? '' ) ) {
                  return $block_content;
              }
          
              // ページに1つしか現れないので削除
              remove_filter( current_filter(), __FUNCTION__ );
          
              /* $block_content を編集する */
          
              return $block_content;
          }

          ブロックから変数を渡す

          ショートコードのように投稿からPHPに変数を渡すこともできる。たとえば "lf-test-block-name" という名前を付けた詩ブロックの内容を {"asin":"ABC"} などとJSONスタイルで書いておくと、上記のコードの /* $block_content を編集する */ のところで

          $asin = json_decode( trim( strip_tags( $block_content ) ), true );

          とすることで、$asin->asin には 'ABC' が入っている。

        • 倫理の基準

          まえがき

          『現代倫理学では、これらのうちのどれかで倫理のことを捉えていることが多いように思います。』

          リスト

          あとがき

          まえがきを含めて、佐藤 岳詩『「倫理の問題」とは何か メタ倫理学から考える』 (光文社、2021年)より。リストは本文からの引用です。

          「倫理とは何なのか」が現代倫理学でどう捉えているかを主要な学説ごとに分類したリスト。

          (考え方重視 - 行為重視) × (理想をめざす - 失ってはならないものを守る)みたいなマトリクスで整理できそうですね。

          • 面白い研究の指標

            まえがき

            『Davis(1971)は、理論を面白くて影響力のあるものにする要素について「面白さの指標」という形で最も網羅的な議論を展開したが、それは、読者が持つ前提に対して挑戦し得る12の方法から構成されている。』

            リスト

            あとがき

            まえがきを含めて、マッツ・アルヴェッソン、ヨルゲン・サンドバーグ『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方: 論文刊行ゲームを超えて』 (白桃書房、2023年)より。リストは付録2の表をリスト化したものです。付録2の表は参考文献[1]から作成されています。

            1から7までが「単一の現象の特徴」、8以降が「複数の現象間の関係性」とカテゴリ分けされています。

            まえがきにあるように、「面白さ」の根源にあるのは読み手の前提に対する挑戦のようです。つまり読み手はそれなりの前提を持って読むことが前提になっているわけです。

            ここで思い出されたのは「ユーモアが生まれる3つの条件」。このリストによれば、ユーモアを生むのは「普通」や「予想」からの(無害な)逸脱。受け手の前提といってもいいでしょう。

            相手の前提にどんな挑戦をするか。日常の仕事に何らかの「面白さ」を持ち込みたいときに参照したいリストです。

            この本からの他のリスト

            参考文献

            [1] Davis, Murray S. “That’s interesting! Towards a phenomenology of sociology and a sociology of phenomenology.” Philosophy of the social sciences 1.2 (1971): 309-344.

          • 面白くない研究の類型

            まえがき

            『(ギャップ・スポッティングとは)〈先行研究の中に従来見落とされてきた課題領域などをはじめとする各種のギャップ(隙間)を見出し、それらのギャップを踏まえて具体的なリサーチ・クエスチョンを作成する〉というやり方である。』

            リスト

            あとがき

            まえがきを含めて、マッツ・アルヴェッソン、ヨルゲン・サンドバーグ『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方: 論文刊行ゲームを超えて』 (白桃書房、2023年)より。リストは本文を要約・編集して作成しました。

            このリストは著者らがギャップ・スポッティングと名付けている、リサーチ・クエスチョンを構築する方法の類型です。著者らはギャップ・スポッティングによるリサーチ・クエスチョンの作成が社会科学系の論文においては主流の方法であると分析しています。

            著者らはギャップ・スポッティングがリサーチ・クエスチョン構築法の主流だと述べているだけで、タイトルのように「面白くない」とまでは言っていません。「独創的になりづらいリサーチ・クエスチョンの構築法であるギャップ・スポッティングの類型」というあたりがより適切なタイトルかと思います。しかし長すぎるので、少々誇張気味ではありますが「面白くない研究の類型」としました。

            ギャップ・スポッティングが不要だとか有害だとか述べているわけではありません、念のため。先行研究のギャップを探すという問いの立て方からは、面白く独創的な研究は生まれづらいと論じています。

            この本からの他のリスト

          • 創造性の4C

            まえがき

            『創造性に関する研究は、ほとんどの場合、2つの方向性を取る傾向がある。本論文ではこの2分法を拡張し、4つの創造性モデルを提案する。』

            リスト

            あとがき

            参考文献[1] より。まえがきは Abstract からの抜き書きです。リストは論文の要約です。

            どこかで、創造性の Big-C と Little-C という表現を見かけて興味を持ち検索したところ、この論文がヒットしました。

            研究者や著作者にとっては、自分の発見やメッセージがどのレベルのCかを意識するのは有用に思えます。Pro-C と意気込んでいるものが little-C ではないかと疑ってみるのは健全なレビューでしょうし、Big-C として認められるには相応の準備と覚悟が必要になるわけです。

            参考文献

            [1] Kaufman, James C., and Ronald A. Beghetto. “Beyond Big and Little: The Four C Model of Creativity.” Review of General Psychology 13.1 (2009): 1-12.

          • 国民の幸福度の判定基準

            まえがき

            『2012年以降、国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク (SDSN) が毎年「世界幸福度報告書」を発表している(略)。ではここで、幸福度の判定基準となっている6つの要素を紹介しよう。』

            リスト

            あとがき

            まえがきを含めて、バーツラフ・シュミル『Numbers Don’t Lie: 世界のリアルは「数字」でつかめ!』 (NHK出版、2021年)より。

            幸福度を測るには基準が必要なわけですが、その基準から測定者の「幸福観」が見て取れます。

            著者はこの調査についてかなり辛口な評価をしています。分析は捨象して評価している部分だけ引用すると:

            これほど雑多な指標がごちゃ混ぜになっている状態だけを見ても、はたしてこれが正確なランキングになっているのかと疑わざるをえない。

            とにかく、幸福度ランキングという指標そのものが、じつにばかげているのだ。

            さらにつけくわえると、幸福度の高さと自殺率の低さに相関関係は見られない。

              参考文献