投稿者: koji

  • 交渉の最中に対処すべき5つの課題

    まえがき

    『(カレンシー)交換の最中に、いくつかの課題に対処する必要が出てくる。以下の5つの難問を見てみよう。』

    リスト

    あとがき

    まえがきを含めて、アラン・R・コーエン、デビッド・L・ブラッドフォード、高嶋 薫『〔新版〕影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル』 (税務経理協会、2023年)より。リストは本文からの引用です。

    影響力の法則 コーエン&ブラッドフォードモデル」を引用した『影響力の法則』の新版が出ていたので目を通しました。基本的なモデルは変わっていませんでしたが、せっかくなので別のリストを収集しました。

    本文では、このリストには「カレンシーを交換する場で対処すべき5つの課題」という見出しが付いています。しかしカレンシーという言葉は本書で定義されている用語です。未読の方にはわかりづらいので「交渉」と意訳しました。

    本書におけるカレンシーとは、それぞれにとって価値あるもの。影響力を発揮するとは、レシプロシティ(互恵性)の原則に則ってカレンシーを交換すること。シンプルながら説得力のある考え方です。

    なお第2項目のところで「外交官の3つの約束」という面白いリストがあったので収集しておきます。

    • 嘘は絶対につかない
    • 真実も絶対に明かさない
    • 疑念が向けられたら、トイレに行く

    (出所不詳)

    • 深い観察の基本プロトコル

      まえがき

      『創造力を高め、凝り固まった考え方を打ち破り、まだ誰も見たことのない画期的な作品を生み出す。それを可能にするのが、ほかでもない「深い観察(ディープ・ルッキング)」なのだ。』

      リスト

      あとがき

      まえがきを含めて、ロジャー・マクドナルド『DEEP LOOKING 想像力を蘇らせる深い観察のガイド』 (AIT Press、2022年)より。リストは「はじめに」から引用しました。「はじめに」は書籍の特設サイトでも読めます。

      観察という行為を掘り下げたユニークな本。箇条書きサイトではなかなか伝えづらい魅力を備えています。

      • 破綻企業に共通する意思決定プロセスの特徴

        まえがき

        『破綻企業の経営陣の意思決定プロセスには、こうした「予定調和的色彩」がきわめて強く表出している。こうした意思決定プロセスが、後に破綻企業にとって致命的なダメージを与えることになるのである。』

        リスト

        あとがき

        まえがきを含めて、小城 武彦 『衰退の法則』 (東洋経済新報社、2017年)より。リストは本文からの編集・引用です。

        著者は破綻した日本企業の分析にあたって下の4つの因子を挙げています。

        1. 経営陣の意思決定プロセス
        2. ミドルによる社内調整プロセス
        3. ミドルの出世条件・経営陣登用プロセス
        4. 経営陣の資質

        本リストは1の「経営陣の意思決定プロセス」の特徴。第5項目だけ少し異質なので補足します。この項目は意思決定した結果のフォローアップ(PDCAのCA)が無いと指摘しています。

        • タイトル衰退の法則
        • 著者: 武彦, 小城(著)
        • 出版社: 東洋経済新報社
        • 出版日: 2017-05-26

        この本からの他のリスト

      • ディレクトリごとにPHPのバージョンを変える

        LOTD(今日のリスト)の配信にはXserverのメーリングリスト機能を使っている。しかしこの機能はPHP5~7にしか対応していない。一方でWordPress本体はPHP8をサポートし始めている。

        LOTDのためにWordPressのPHPバージョンが制約を受けることがないよう、XserverのメーリングリストだけをPHP7で走らせられないかを調べた。

        Xserverのメーリングリスト機能は xmailinglist というディレクトリに収められたファイル群として提供されている。よって https://listfreak.com/xmailinglist/ 下のPHPだけをPHP7で起動すればOKそう。

        xmailinglist ディレクトリ以下の .php ファイルだけを異なるバージョンのPHPで走らせるために、以下のような内容の .htaccess を置く。

        AddHandler php-xmailinglist .php
        Action php-xmailinglist /xmailinglist/php.fcgi

        1行目で .php ファイルを扱うハンドラー(ラベル名のようなもの)を追加し、2行目でそのハンドラーが実行すべきファイルを指定する。

        ここで /xmailinglist/php.fcgi は以下のような内容のシェルスクリプトである。

        #!/bin/sh
        exec /usr/bin/php-fcgi7.4

        PHPのファイルパスは Xserver の「プログラム言語・コマンドパス」というページに書かれている。

      • (科学的)説明の被覆法則モデル

        まえがき

        『一般に、科学的説明は論証の論理構造を持っているとヘンペルは指摘する。(略)ヘンペルは次の条件を挙げた。』

        リスト

        あとがき

        まえがきを含めて、サミール・オカーシャ『哲学がわかる 科学哲学 新版』 (岩波書店、2023年)より。リストは本文を分解して作成しました。

        被覆法則モデルは “covering law model” の訳。『ヘンペルの説明モデルは、次のような図式で表現できる。』として、次の図式がありました。

        一般法則
        個別的事実
         ⇓
        説明すべき現象

        一見すると、これで説明できない、あるいは間違った説明になってしまうことなどなさそうに感じます。しかし本書では「対称性の問題」「関連性欠如の問題」という2つの問題(詳細は省略)が指摘され、説明のモデルとしては十分でないことが示されます。

        • タイトル哲学がわかる 科学哲学 新版
        • 著者: サミール・オカーシャ(著)、直江 清隆(翻訳)、廣瀬 覚(翻訳)
        • 出版社: 岩波書店
        • 出版日: 2023-09-14
        • 「完全無欠の問題解決」の7ステップにおける問い

          まえがき

          『本書の心臓部にあたるのが、創造的な問題解決、すなわち7ステップからなるフレームワーク、「完全無欠の問題解決」であり、以下の決定的に重要な問いから始まる。』

          リスト

          あとがき

          まえがきを含めて、チャールズ・コン、ロバート・マクリーン『完全無欠の問題解決―――不確実性を乗り越える7ステップアプローチ』 (ダイヤモンド社、2022年)より。リストは本文中のリストと図表を引用・編集して作成しました。

          問題解決のガイドとしてかなり充実しています。コンサルティング業務の教科書のよう。

          • システム3の基本原則

            まえがき

            『カーネマンの理論で忘れられているシステム3の基本原則をまとめよう。(略)システム3の概念は、数学の取り組みの本質をよく表している。』

            リスト

            あとがき

            まえがきを含めて、ダヴィッド・ベシス『こころを旅する数学: 直観と好奇心がひらく秘密の世界』 (晶文社、2023年)より。リストは本文と「システム1、2、3 ―― 3種類の思考速度」と題された表から抜き書きして作成しました。

            システム1を電気的、システム2を機械的な思考と呼ぶならば、植物的とでも呼べる第3の思考がある。かすかな違和感が的確な比喩によって鮮やかに視覚化されました。

            システム3を思考力としましたが、著者は『十分に特徴を捉えられる言葉が見つからなかった』と述べています。一つの単語の代わりに文章で説明を試みている個所を、少々長めですが引用します。

            システム3は熟考力に対応すると言いたいところだが、“熟考する”という動詞はシステム2に従う命令として使われてからたいした意味をもたなくなった。
            システム3の活動は一種の瞑想だが、この言葉もあいまいすぎる。すべての瞑想がシステム3の活動とは限らないからだ。 システム3の原則は、システム1とシステム2の不一致を理解して解消するために、両者の対話を確立することである。自由な瞑想ではなく、矛盾がないようにするという制約を受けた瞑想だ。最終目的は、システム2の結果を考慮してシステム1を修正することである。

            全体に「そうそう、考えるとはこういう作業だ」と思える良書でした。

            • ブロック識別子としてのブロック名

              Gutenberg 16.9 から、ブロックに固有の名前を付けられるようになった。このブロック名を ID とみなすことで、ブロックエディタを使って視覚的にデザインしつつ、表示をする際にはショートコードのように動的なコンテンツを流し込むことが容易になる。

              ブロックに固有の名前を付ける

              図1

              リストビューでブロック要素を選択し、メニューから「名前の変更」を選べば編集できる(図1)。また設定サイドバーの Advanced グループにブロック名という欄があり、ここからも編集できる(図2)。詳しくは “Rename (almost) all blocks from the editor” (in “What’s new in Gutenberg 16.9? (25 October) – Make WordPress Core“) を参照のこと。

              図2

              ブロックの内容を動的に書き換える

              たとえば詩ブロックの一つに "lf-test-block-name" という名前を付けると、ブロック名は下記のように保存される。

              <!-- wp:verse {"metadata":{"name":"lf-test-block-name"}} -->
              
              <pre class="wp-block-verse">テストブロック</pre>
              <!-- /wp:verse -->

              このHTMLをパースして $block という変数に格納したとすると、ブロック名には $block['attrs']['metadata']['name'] としてアクセスできる。

              このブロックの内容を表示時に書き換えるには下記のようにすればよい。

              add_filter( 'render_block_core/verse', 'rewrite_verse', 10, 3 );
              function rewrite_verse( $block_content, $block, $instance ) {
              
                  // 処理対象ブロックでなければ終了
                  if ( 'lf-test-block-name' !== ( $block['attrs']['metadata']['name'] ?? '' ) ) {
                      return $block_content;
                  }
              
                  // ページに1つしか現れないので削除
                  remove_filter( current_filter(), __FUNCTION__ );
              
                  /* $block_content を編集する */
              
                  return $block_content;
              }

              ブロックから変数を渡す

              ショートコードのように投稿からPHPに変数を渡すこともできる。たとえば "lf-test-block-name" という名前を付けた詩ブロックの内容を {"asin":"ABC"} などとJSONスタイルで書いておくと、上記のコードの /* $block_content を編集する */ のところで

              $asin = json_decode( trim( strip_tags( $block_content ) ), true );

              とすることで、$asin->asin には 'ABC' が入っている。

            • 倫理の基準

              まえがき

              『現代倫理学では、これらのうちのどれかで倫理のことを捉えていることが多いように思います。』

              リスト

              あとがき

              まえがきを含めて、佐藤 岳詩『「倫理の問題」とは何か メタ倫理学から考える』 (光文社、2021年)より。リストは本文からの引用です。

              「倫理とは何なのか」が現代倫理学でどう捉えているかを主要な学説ごとに分類したリスト。

              (考え方重視 - 行為重視) × (理想をめざす - 失ってはならないものを守る)みたいなマトリクスで整理できそうですね。

              • 面白い研究の指標

                まえがき

                『Davis(1971)は、理論を面白くて影響力のあるものにする要素について「面白さの指標」という形で最も網羅的な議論を展開したが、それは、読者が持つ前提に対して挑戦し得る12の方法から構成されている。』

                リスト

                あとがき

                まえがきを含めて、マッツ・アルヴェッソン、ヨルゲン・サンドバーグ『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方: 論文刊行ゲームを超えて』 (白桃書房、2023年)より。リストは付録2の表をリスト化したものです。付録2の表は参考文献[1]から作成されています。

                1から7までが「単一の現象の特徴」、8以降が「複数の現象間の関係性」とカテゴリ分けされています。

                まえがきにあるように、「面白さ」の根源にあるのは読み手の前提に対する挑戦のようです。つまり読み手はそれなりの前提を持って読むことが前提になっているわけです。

                ここで思い出されたのは「ユーモアが生まれる3つの条件」。このリストによれば、ユーモアを生むのは「普通」や「予想」からの(無害な)逸脱。受け手の前提といってもいいでしょう。

                相手の前提にどんな挑戦をするか。日常の仕事に何らかの「面白さ」を持ち込みたいときに参照したいリストです。

                この本からの他のリスト

                参考文献

                [1] Davis, Murray S. “That’s interesting! Towards a phenomenology of sociology and a sociology of phenomenology.” Philosophy of the social sciences 1.2 (1971): 309-344.