まえがき
「特筆すべきは、話す、聴くという最も基本的な社交的行為に、シンプルで、かつ実践的な変化を加えるだけで、最も複雑で行き詰まっている問題を解決することができるということなのです。」
リスト
- あなたの状態や、あなたがどう話し、どう聴いているのかに注意を向ける。自分独自の前提、反応、習癖、懸念、先入観、そして想定していることに気づく。
- 率直に話す。あなたの考えていること、感じていること、望んでいることに気づき、それを言う。
- あなたは真実について何も知らないということを覚えておく。現状について理解していると確信をもっているときでも、「私の意見では」という一言を付け足す。自分をあまり過信しないこと。
- そのシステムの関係者たちとかかわり合い、話を聴く。あなたとは異なり、ときには反対の見解を持つ人を探す。心地良いと感じる状態を超えて自分の幅を広げる。
- システムの中であなたが果たしている役割を振り返る。あなたがしていること、あるいはしていないことが、現在の状態にどう影響しているかを検討する。
- 共感をもって聴く。他者の目線で、システムを見る。相手の身になって考えてみる。
- 自分の話していることや他者が話していることを聴くだけでなく、全体で何が話されているかに耳を傾ける。一人ひとりの意見ではなくシステム全体で何が浮かび上がってきているのかを聴く。心の底から聴くこと。心で話すこと。
- 話すのをやめる。質問の横でキャンプする(質問から一歩下がる)ことで、答えが現れるのを待つ。
- リラックスし、完全にありのままを受け入れる。思考と心と意志をオープンにする。心が動かされ、変わることができるよう、自分自身をオープンにする。
- これらの提言を試し、何が起こるかに気づく。他の人々との関係や、あなた自身との関係、そして世界との関係において何が変わるかを感じ取る。そしてそれをやり続ける。
あとがき
まえがきを含めて『手ごわい問題は、対話で解決する』より。すべて、(他人や場をどう操作するかではなく)自分がどうふるまうかについての提言です。ですから実行できるかどうかは自分次第。難易度はとても高いですが、あるべき姿として掲げておきたいリストです。
タイトルは、内容を反映させるならば「オープンな対話を実践するための10の提言」という感じです。しかし監修者による「あとがき」によれば、著者は本書を読んでほしい人たちの目に触れるように、当初案の”Victory of Open Heart”をあきらめて”Solving Tough Problems”にしたとのこと。その意をくんで、邦題に近いタイトルにしました。
- タイトル: 手ごわい問題は、対話で解決する
- 著者: アダム・カヘン(著)、Adam Kahane(著)、ヒューマンバリュー(編集)、高間邦男(監修)、ヒューマンバリュー(翻訳)
- 出版社: ヒューマンバリュー
- 出版日: 2008-10-03