まえがき
第三世代の行動療法のひとつ、ACT(Acceptance and Commitment Therapy、アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の手続きとは。
リスト
- アクセプタンス(acceptance):ネガティブな感情をコントロールしようとすることや体験を回避しようとすることを軽減し、アクセプタンスとウィリングネス(willingness)を促進する
- ディフュージョン(defusion):言語は私的な経験や事象を生み出し、認知的フュージョン・不要な理由づけ・有害な評価といった、生活の質を高める障害(バリア)となることがある。この、言語特有のプロセスを弱める。
- 「今、この瞬間」との接触(getting in contact with the present moment):刻一刻と変化する体験の流れに対してより充分に接触を持ちながら、今を生きる
- 文脈としての(超越的な)自己(self-as-context):私的事象に対するアクセプタンスを促進するような状態を生み出すために「文脈としての自己」と「概念化された自己」との区別を体験する
- 価値(values):問題消去から「いかに生きるか」へ方向転換する。心理的障壁(体験の回避、バリア)の遍在の中、生きる上での価値(方向性)を明確にする
- コミットされた行為(committed action):価値づけられた人生の目的に合致したコミットされた行為のパターンを可能な限り拡大する
あとがき
『アクセプタンス&コミットメント・セラピーの文脈―臨床行動分析におけるマインドフルな展開』より。この本、出版社が倒産したとかで手に入りづらかった……。
(第二世代の)認知行動療法から一般のビジネスパーソン向けのエクササイズがたくさん生まれていますが、このACTも、今後同じように生活の質を高める目的で幅広く解釈・援用されていきそうです。
リストは第6章からの引用です。ただし、第2項目については日本語の係り受けの理解が難しかったので、わたしの解釈で書き直してしまいました。原文はこちら:「認知的フュージョン、不要な理由づけ、有害な評価を助長し、それによって生活の質を高めるような活動に対して障害(バリア)となる私的な経験や事象を生み出す言語特有のプロセスを弱める」。
この6つのコア・プロセスの原典は”Acceptance and commitment therapy: Model, processes and outcomes“(Google scholar)で確認できます。
- タイトル: アクセプタンス&コミットメント・セラピーの文脈―臨床行動分析におけるマインドフルな展開
- 著者: 武藤 崇(著)
- 出版社: ブレーン出版
- 出版日: 2006-09-01