まえがき
『人間の関係は「権力、貨幣、そしてコミュニケーション( 対話)」という三つの媒体( メディア)によって制御される。そうハーバーマスは考える。』
リスト
- 権力:公権力は個人に命令する。上司は部下に命令する。教師は生徒に命令する。国でも会社でも学校でも、権力関係がなければ秩序は生まれない。主として権力が制御する世界は「政治」である。
- 貨幣:お金を出せば欲しいものが手に入る。どれだけのお金を出せばよいかは需給の関係が決める。貨幣が主として貨幣が制御する世界は「経済」である。
- コミュニケーション:問題があれば話し合い、議論を尽くし、了解に達する。コミュニケーションが重視される世界は「生活世界」である。権力と貨幣による制御をシステム合理性と呼ぶとき、コミュニケーションによる制御はコミュニケーション的合理性と呼ばれる。
あとがき
まえがきを含めて、堀川 哲『世界を変えた哲学者たち (角川ソフィア文庫)』 (角川学芸出版、2012年)より。リストは本文からの編集・引用です。
ハーバーマスのめざすところを簡潔にまとめた部分を引用します。
生活世界の植民地化を阻止する、そのために必要なことはなにか?
コミュニケーション(対話)である。市民たちが、公共の場で議論をつくし、合理的な結論に到達することである。それによって権力(政治)と貨幣(経済)の世界を制御することである。
- タイトル: 世界を変えた哲学者たち (角川ソフィア文庫)
- 著者: 堀川 哲(著)
- 出版社: 角川学芸出版
- 出版日: 2012-02-25