まえがき
『人間は、言語と記憶を同時に獲得していく。この2つは互いにからまり合い、支え合っている。(略)言語は少なくとも3つの方法で、その言語を話す人の記憶に影響を与える。』
リスト
- 符号化される時点で言語が同時に活性化する …… 「fly(ハエ)」という単語を探すとき、「flashlight(懐中電灯)」を見たという記憶も呼び起こされることが多い
- 記憶は言語と結びついている …… 記憶を取り出すときに、その記憶を符号化したときに存在した言語が再び存在すれば、その記憶を思い出しやすくなる(言語依存記憶論)
- 言語を使ったラベリングが記憶に利用される …… 英語で「いとこ」を表す単語は「cousin」しかないが、中国語では8つある。この利便性のため、中国語の話者はいとこにまつわる記憶を速く詳細に引き出せる
あとがき
まえがきを含めて、ビオリカ・マリアン『言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?』 (KADOKAWA、2023年)より。リストは本文からの抜き書き(一部編集)です。
主にマルチリンガル(複数言語を話す人)の記憶特性について論じていた部分ですが、長くなるのでモノリンガルとマルチリンガルの違いについての記述は割愛しました。
ちなみに、いとこを「母方か父方か」「男か女か」「年上か年下か」で分類すると、2x2x2=8通りになります。中国語ではそれぞれに違うラベル(呼び方)があるとのこと。
- タイトル: 言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?
- 著者: ビオリカ・マリアン(著)、今井 むつみ(監修)、今井 むつみ(解説)、桜田 直美(翻訳)
- 出版社: KADOKAWA
- 出版日: 2023-12-21