まえがき
「自分に聞き、自分の感情を把握し、感情を調べることが自分自身の人間的成長につながっていくためには、日常的に自分が何を話し、そこにどんな思いを込めているかに注目することが、大きな助けとなる。」
リスト
- 【第1段階】客観的事実しか述べない
話し手の思いが介在しない。感情を無視している。「失業率が10%を超えました」 - 【第2段階】客観的事実に自分なりの評価が加わる
客観的事実に対して自分の意見を述べる。「失業率が10%を超えるというのは困ったことだと思います」 - 【第3段階】事実によって引き起こされる自分の内面の反応を表現する
外部の出来事によって起こる内面の反応に注意が向けられ、感情がより明確に、豊かに表現されている。「失業率が10%を超えたと聞くと、胸が苦しくなり、せつなくなります」 - 【第4段階】自分の内面の変化に焦点を当て、内面を洞察する
感情の表現とともに、自分の感情を頼りに内面の問題点や危惧に目を向けている。「こういうタイプのニュースを聞いて胸が苦しくなったり、せつなくなるのは、自分の中に社会への不信感や、未来への不安が強いためかもしれません」 - 【第5段階】内面への洞察から“気づき”がもたらされ、自分の感情を的確に把握する
外部の事実から、自分の感情を手がかりに内面の構造までも解き明かす段階、つまり“気づき”に到達した状態。「確かに私を強く支配しているのは、不信感と不安感なんですね。人のいう通りにやっていたらきっとひどい目にあう、そういう思いが私の生きるエネルギーであり、ストッパーでもあるんです」
あとがき
まえがきを含めて『愛と癒しのコミュニオン』より。各リスト項目の1行目は(漢数字をアラビア数字に変えたほかは)そのまま引用しました。2行目以降は解説文から編集・引用しています。また引用元では、例文の失業率は4%です。
よく、自分の感情を見つめるとか自己意識を高めるとかいいますが、具体的にどうすればよいのか分かりづらいところがあります。この段階モデルは、そのよい手引きになりそうです。
- タイトル: 愛と癒しのコミュニオン (文春新書 (047))
- 著者: 鈴木 秀子(著)
- 出版社: 文藝春秋
- 出版日: 1999-06-18