まえがき
『印象的な場面に即して、サンデル教授の講義から私が読み取ったアートを幾つか挙げてみたいと思います。』
リスト
- 学生の発言を論理的に明確にする 〜 発言した学生に質問をしたり、学生たちの発言を巧みに言い換えたり、整理したりすることで、彼らの発言を明確にしてあげる
- 学生に哲学的立場を自覚させ、それぞれの立場の代表者を見出す 〜 学生たち自身の哲学的立場を自覚させ、それぞれの立場を典型的に代表するような意見を述べた学生を見出し、彼らの発言から議論を展開させる
- 個人的な攻撃を避けさせて、学生自身の論理を徹底的に展開させる 〜 個人的な攻撃を回避させ、一般的な議論として三人称で語らせる・他の誰かの立場になって考えさせるなどの巧みな質問や提案をして、学生自身の論理を展開させていく
- 臨機応変に議論を展開させていく 〜 学生から予想外の発言があっても、それをきっかけにして、哲学的に重要な別のポイントに話を進めていく
- 哲学に関する実験(テスト)をして学生にその内容を考えさせる 〜 哲学的な意味を持つ実験をして、学生たちに、通常とは異なった角度から考えさせる
- チームを作って少数派の意見を積極的に引き出す 〜 少数派にはチームを組ませ、またときには自分がそのチームに参加することで、少数派の学生たちの負担を軽くして、彼らの意見を積極的に引き出す
- 正反対の意見を戦わせて議論を深化させる 〜 学生同士で正反対の意見を徹底的に戦わせて議論を深化させていく
- あえて自分の思想への反対意見を引き出す 〜 議論を活性化するために、講義の終盤までは自分の哲学的・思想的立場を明らかにしない。ときには自らの思想にあえて反対のスタンスを示してでも、いまここにある現実の問題を直視して、議論を深化・発展させていく
あとがき
まえがきを含めて『サンデル教授の対話術』より。リスト項目のタイトル部分は見出しからの引用、解説部分は本文からの要約です。
NHKの「ハーバード白熱教室の衝撃」シリーズからのまとめということで、解説文では具体的なシーンが紹介されています。ですので、たしかにあそこではそのように運んでいたなという臨場感を持って理解できました。
- タイトル: サンデル教授の対話術 ( )
- 著者: マイケル・サンデル(著)、小林 正弥(著)、小林 正弥(翻訳)
- 出版社: NHK出版
- 出版日: 2011-03-29