投稿者: koji

  • 質問の5つの敵

    まえがき

    『4歳児の間は1日に100回だった質問の習慣が、10代の若者の間では数回またはゼロにまで減少する。(略)明らかに質問を妨げる多くの力や重圧が存在する。』

    リスト

    あとがき

    まえがきを含めて、ウォーレン・バーガー『質問力を鍛える本』 (ニュートンプレス、2022年)より。リストは本文の要約で、実際にはもう少し多角的に論じられています。

    問いは思考のスタート。意識して対処していきたいものです。

    実際にどうやってたたかうかを考えると「知識」が難しそうです。なまじ知識や経験の蓄えがあったり、データが豊富にあったりする分野だと、それらを組み合わせるだけでも大変だし面白い。自分に考えさせる問いのリストをつくろうと思います。

    • タイトル質問力を鍛える本
    • 著者: ウォーレン バーガー(著)、八木 龍平(監修)、田村 豪(翻訳)
    • 出版社: ニュートンプレス
    • 出版日: 2022-03-31

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  • MECSTAT – 解決志向の会話のステップ

    まえがき

    『MECSTAT は、ソリューション・フォーカスト・セラピーの技術が明確、簡潔、かつ順番に説明された唯一のモデルです。』

    リスト

    あとがき

    まえがきを含めて、参考文献[1]より。まえがき及びリストは私訳です。

    セラピーという言葉が入ると専門的なイメージが強く出てしまうので、一般的な会話でも使い得ることが伝わるようなタイトルにしました。またクライアントでなく相談する側、セラピストでなく相談に乗る側といった言葉づかいにしています。最初の4つの質問については具体的な質問の例がいくつか載っていましたので、こちらで意を酌んで一つに絞って付けました。

    こういった解決志向の会話の進め方はいろいろな呼ばれ方をしています。引用元の論文では「ソリューション・フォーカス・セラピー (SFT)」。後から検索しやすいよう他の呼ばれ方を並べておくと、ソリューション・フォーカスト・ブリーフ・セラピー (Solution Focused Brief Therapy, SFBT)、ソリューション・フォーカスト・アプローチ (Solution Focused Approach, SFA)、解決志向アプローチ、など。

    この7つはおおまかに会話の流れに沿っています。

    参考文献

    [1] Greenberg, Gail, Keren Ganshorn, and Alanna Danilkewich. “Solution-focused therapy. Counseling model for busy family physicians.” Canadian Family Physician 47.11 (2001): 2289-2295.

  • メンタライジング(認知的共感)の4機能

    まえがき

    『イギリスの発達心理学者サイモン・バロン=コーエンは、自閉症者はメンタライジングの能力が欠けているとして、これを「マインド・ブラインドネス」と名づけ(略)4つの機能で説明している。』

    リスト

    あとがき

    まえがきを含めて、橘 玲『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』 (幻冬舎、2021年)より。引用元は参考文献[1]

    あたりまえのようですが、相手をきちんと観察することが認知的共感の第一歩。興味深かった記述を一段落引用します。

    自閉症の特徴として、相手の視線をモニタできないことがある。喫茶店で話をしているときに、相手が視線をふと入口に向けると、ごく自然に同じ方向を見る。これが「注意の共有」だが、自閉症者はこうした反応がほとんどない。

    この本からの他のリスト

    参考文献

    [1] サイモン バロン=コーエン『自閉症とマインド・ブラインドネス』 (青土社、2002年)

    • タイトル自閉症とマインド・ブラインドネス
    • 著者: サイモン バロン=コーエン(著)、Baron‐Cohen,Simon(原名)、敬, 長野(翻訳)、義孝, 今野(翻訳)、正道, 長畑(翻訳)
    • 出版社: 青土社
    • 出版日: 2002-06-01
    • 教育と職業の一致度を測る3つの方法

      まえがき

      『仕事に対して学歴が高すぎるのが、「学歴過剰」だが、労働経済学では、受けた教育に比べて仕事の内容が不十分なことを「不完全就業」と呼ぶ。アメリカの労働経済学者たちは、不完全就業(学歴過剰)を大きく3つの方法で計測している。』

      リスト

      あとがき

      橘 玲『無理ゲー社会』 (小学館、2021年)より。リストは本文から編集・引用して作りました。リスト部分の引用元は、ブライアン・カプラン『大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学』 (みすず書房、2019年)。

      一つの状況を測定するのに3種類のやり方を組み合わせるのが面白いと思って収集しました。統計、本人の主観、専門家による評価という感じでしょうか。

      本書には「行動遺伝学の3法則」も載っていました。

      • タイトル無理ゲー社会
      • 著者: 橘 玲(著)
      • 出版社: 小学館
      • 出版日: 2021-07-29

        参考文献

        • クリティカル・シンキングの3R

          まえがき

          『学生たちは、人間についてのあらゆる知識が詰まった機械を持っているのに、その知識をどうやって統合すればいいのか、全くわかっていない。私たちは思考や論理の教育ができていない』

          リスト

          あとがき

          まえがきを含めて、デイビッド・エプスタイン『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』 (日経BP、2020年)より。リストは本文を編集して作りました。

          本書でこのリストが「クリティカル・シンキングの3R」として紹介されているわけではありません。3Rは、著名な医学博士のアルトゥーロ・カサデバールらが、まえがきに引用したような問題意識をもって立ち上げたジョンズ・ホプキンス大学の「R3プログラム」[1]から引用しました。

          以下にプログラムの紹介ページを引用します。この文章にあるように、このプログラムはクリティカル・シンキングの実践を目的としているので、タイトルに反映させました。

          We are a community of enthusiasts for critical thinking across the science disciplines and feel committed to living the “3R’s” of open science practice in our research: Rigor, Reproducibility & Responsibility.

          私たちは、科学分野全体における批判的思考の愛好家のコミュニティであり、研究においてオープンサイエンスの実践の「3R」、つまり厳密さ、再現性、責任を体現することに傾注しています。

          R3 Initative – foundations” (jhsph.edu)

          どんなプログラムなのか、本書から引用します。面白そう。

          R3イニシアチブは、領域横断的な講座から始まる。それは哲学、歴史、論理学、倫理学、統計学、コミュニケーション、リーダーシップを含む講座だ。 あるクラスは「何が真実かはどうすればわかるか」という名前で、過去のエビデンスやさまざまな領域のエビデンスを検証する。「科学的な誤りの解剖学」では、学生は探偵となって、実際の研究の不正や低質な手法のサインを探す。一方で、間違いや偶然の発見が、どのように重要な発見につながるのかも学ぶ。

            参考文献

            [1] PhD Program – Academics and Degree Programs – W. Harry Feinstone Department of Molecular Microbiology and Immunology – Departments – Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health (jhsph.edu)

          • 他者と出会ったとき(無意識に) 注目する8つの要素

            まえがき

            『本書では、(ビッグファイブ理論における)「協調性」を「同調性」と「共感力」に分けると同時に、「外見」と「知能」を加えて、8つの因子でパーソナリティを説明する。』

            リスト

            あとがき

            まえがきを含めて、橘 玲『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』 (幻冬舎、2021年)より。リストは本文からの引用です。

            なぜビッグファイブを拡張するのか。著者のパーソナリティ観が表現されている段落を引用します。

            パーソナリティの「因子」というのは、わかりやすくいうならば、映画でもテレビドラマでも演劇の舞台でもいいけれど、新しい登場人物が現われたときまっさきに注目する要素のことだ。それは自分をアピールするための個性であると同時に、観客が役者に押しつけるステレオタイプでもある。パーソナリティもこれと同じで、「わたし」と「社会(共同体)」の相互作用によってつくられていく。

            人が真っ先に注目するのは、根源的には、相手が「生存への脅威」か「生殖の対象」か、そうでないか。そういった観点からビッグファイブを拡張したのが、著者がビッグエイトと称するこのリスト。

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          • 日本文学における感情表現の種類

            まえがき

            『文学作品の実例分析をとおして、人間の気持ちの表現を考察した結果、次の一九種類の感情が抽出できた。』

            リスト

            あとがき

            前書きを含めて、中村 明『文章作法事典』 (講談社、2023年)より。リストは本文を編集・引用して作成しました。

            まえがきに19種類とあるのは、リストにある21種類-(哀+厭)。そこから『このままでは互いの境界線がはっきりしない箇所がある』として10種にまとめたのがこのリストです。

            これは中村 明『感情表現新辞典』 (東京堂出版、2022年)を編むにあたって作った分類のようです。その辞典では、この10種と、二種類以上の混じり合った「複合感情」が表現された語句を文学作品から紹介しているそうです。目を通してみよう。

            心理学的な分類哲学者による分類は見かけたことがありますが、文学作品に現れた感情表現の分類というのはユニークですね。

            リスト中、「動」はおそらく「感動」。

            • タイトル文章作法事典
            • 著者: 中村 明(著)
            • 出版社: 講談社
            • 出版日: 2023-04-13

              参考文献

              • タイトル感情表現新辞典
              • 著者: 中村 明(著)
              • 出版社: 東京堂出版
              • 出版日: 2022-10-27
              • 権力を身につけ利用する7つの法則

                まえがき

                『教え子や政財界の成功したリーダーを観察し、権力に関する社会科学研究を見直すうちに、権力の法則は大まかに言って「7つ」あるという結論に至った。』

                リスト

                あとがき

                まえがきを含めて、ジェフリー・フェファー『出世 7つの法則』 (日経BP 日本経済新聞出版、2023年)より。法則名だけではわかりづらいので、本文から一部編集しつつ引用したものを添えました。

                邦題は「出世 7つの法則」ですが原題は “7 Rules of Power”。リストのタイトルは原題とその意味合いを尊重してづけました。

                「はじめに」でさっそく7つの法則をリストアップしたのち、著者はこう書いています。

                 法則7がとくに大切だ。「こんなことをしたらどうなるだろう」などと取り越し苦労をせずに、まずは行動しようと思えるからだ。

                なお法則名は原著ではこうなっています(訳書の章扉にも書かれていました)。

                1. Get Out of Your Own Way
                2. Break the Rules
                3. Appear Powerful
                4. Build a Powerful Brand
                5. Network Relentlessly
                6. Use Your Power
                7. Success Excuses (Almost) Everything
                • タイトル出世 7つの法則
                • 著者: ジェフリー・フェファー(著)、櫻井祐子(翻訳)
                • 出版社: 日経BP 日本経済新聞出版
                • 出版日: 2023-01-25
                • 九字護身法

                  まえがき

                  『印を結ぶと脳波では直ちにリラックスした集中を示すアルファ2が増加し、緊張を示すベータ波と眠気を示すシータ波が減少した。』

                  リスト

                  あとがき

                  まえがきを含めて、小森 照久「忍者の印と息長の効果の医学的検討」より。山田 雄司(編集)、三重大学国際忍者研究センター(監修)『忍者学大全』 (東京大学出版会、2023年)に収められています。リストは本文を編集して引用しました。

                  修験道では山に入るときなどに魔を遠ざけるために使われていて、山伏(修験者)が忍者のルーツと考えられていることから、修験道から忍者に取り入れられたと考えられる。九字の意味は、「臨める兵、闘う者、皆陣をはり列をつくって、前に在り」で、それぞれの字に神、仏が対応している。

                  とのこと。これが正説だとすると、自分には守護者がついているぞといったチャントのようなものだったのでしょうか。心技体のように一字一字独立した意味を持っているのかと思っていました。

                  まえがきにあるように、この文書では印が脳や体に及ぼす影響を調べた結果を引用しています[1]。被験者は忍者五人(と対象群の方々)。

                  • タイトル忍者学大全
                  • 著者: 山田 雄司(編集)、三重大学国際忍者研究センター(監修)
                  • 出版社: 東京大学出版会
                  • 出版日: 2023-03-01

                    参考文献

                    [1] 小森照久『精神科医が勧める忍者の印と呼吸法を応用した究極の不安・ストレス解消法』 (日本橋出版、2021年)

                    • AIによる職業置き換えに備える3R

                      まえがき

                      『近づく変化に労働者をそなえさせ、雇用をつくるために必要なのは(略)3R だ。AI 経済革命の最大課題に対応するための途方もない努力の一部となる。』

                      リスト

                      あとがき

                      まえがきを含めて、カイフー・リー(李 開復)、チェン・チウファン(陳 楸帆)『AI 2041 人工知能が変える20年後の未来』 (文藝春秋、2022年)。リストは本文を編集・引用して作成しています。

                      第一項目の、AI が苦手とする能力については「AIの苦手分野」も参照されたし。

                      ぱっと見たときは、3Rは思い出しやすくていいな、しかしルネサンスはちょっと強引かな、と感じました。ただルネサンスも『「再生」(re- 再び + naissance 誕生)を意味するフランス語』(ルネサンス – Wikipedia)。三つの「再」という点で意味合いも揃っているし、再学習→再調整→再生 とエスカレーションする感じもあって、リスト点(?)は高い感じです。

                      このリストを引用した章で著者は『このような理想を実現するのは人類にとってかつてない大事業になる。』と述べたうえで、次のように締めくくっています。名調子なので少し長いですが引用します。

                      この本からの他のリスト